急がれるグローバル人材育成
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日本企業はグローバル市場の攻略強化に打って出ています。今までの日本企業のグローバル化といえば、米国や欧州市場に合わせた「輸出」やそれらの地域で「現地生産・販売」を行うことと、コストダウンを目的として生産拠点を新興国に移すことが中心でした。グローバル化の進展によって世界規模で経済が絡みあい、一つの国で起きたことが全世界の市場に波及するようになりつつある現在、日本企業は進出する国における影響だけでなく、世界規模の影響も考慮してビジネスを組み立てていく必要があります。言い換えれば「グローバル視点で構想し、ローカルに合わせて行動する」ことが、グローバル化をめざす日本企業に求められています。また、こういったアクションを行える人材こそが、グローバル人材として日本企業の世界進出を推進していくのです。

では、グローバル人材はどのようにして育成していけば良いのでしょうか。
グローバル人材には、以下のようなレベルがあります。

  1. 技術担当者やマネージャーとして赴任するレベル
  2. 海外拠点経営を担うレベル
  3. アジア全体などリージョンの経営を担うレベル
  4. グローバル本社の経営を担うレベル

一般的なグローバル人材育成の流れとしては、上記のような人材レベルに沿ってグローバル人材候補を選定し、駐在員として上記の1 のレベルから派遣して、現地での経験とスキル習得を補うグローバルリーダー独自の研修を行います。選抜されたメンバーには個別の育成計画が練られ、その成長度合いを人材育成会議で確認します。
日本企業も、試行錯誤しながら同様の取り組みを行っており、この結果、日本独自の論点が明らかになりつつあります。

最初の論点は、グローバルに向く人材の資質と国内リーダーに向く資質が異なっていることに気付いたという点です。国内ではビジネスモデルがある程度構築されており、その流れに乗る形で王道といわれる職務をジェネラリスト的に経験する「エリートが傷つかない」キャリアパスが一般的でした。しかし、グローバルな舞台では、現地になじみながら異国の地で新たにビジネスを立ち上げることになります。英語だけでなく現地語も活用しなくてはいけないなど、求められる資質が異なります。このため、国内でエリート的に育てられた人材が海外では機能しないケースが多発し、現在ではグローバル向きの人材か否か、資質面を含めたアセスメント(事前評価)で判断するケースが増えてきています。

次の論点は、初の駐在前に現地での経営感覚をつかみ、最低限、現地でマネジメントを回せるレベルまで鍛えてから本格的に駐在させるというケースが増えてきたという点です。今までは現地に派遣してから「自ら身に付けてください」という放任型のケースが多かったのですが、海外拠点経営の難易度が上がっていることもあり、派遣前後のフォローが強化されています。

また駐在員研修の内容も、以前は語学や一般的な異文化コミュニケーションが中心でしたが、現在では「派遣される諸外国でビジネスと経営ができるスキル」に注力した内容に変化しています。国内でも若手のうちに海外視察などで現法人材と交流させたり、母国以外の上司と部下の間に身を置かせて異文化マネジメントを体験させることで、グローバル化に慣れさせる施策に着手する企業が増えています。

初出『HRトレンドハンドブック』(HR総研)
松本利明(人事・戦略コンサルタント/HR総研 客員研究員)
編集:雨宮秀樹(HRレビュー編集部)


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