次世代リーダー候補の育成に関する、各企業の取り組みと課題
Pocket
Share on LinkedIn

どのような時代、どのような企業であっても、人材育成は大きな経営課題の1つです。なかでも、次世代の経営を担う次世代リーダー育成は重要でありながら、多くの企業が頭を悩ませる課題となっています。

HR総研が発行する年次報告書『HR総研 人事白書2015』によると、上場・非上場企業の人事を対象にアンケートを実施した結果、次世代リーダー育成に「現在取り組んでいる」と回答した企業は33%にのぼり、「取り組みを検討中」と回答した企業の23%と合わせると約半数が次世代リーダー育成に対して関心を抱いていることが分かりました。

なかでも従業員数が「1,001名以上」の大企業では「現在取り組んでいる」と回答した企業の割合が50%となっているのに対し、「300名以下」の中小・中堅企業は25%にとどまることから、次世代リーダーの育成については、大企業の方がより強い関心を持っていることうかがえます。

graph01

graph02

選抜方法は「担当役員推薦」と「評価結果による選抜」で7割以上を占める
ただし、育成手法については代わり映えのないものが目立つ

では、次世代リーダーにふさわしい人物の選抜方法について見ていきます。『HR総研 人事白書2015』に掲載されているアンケート結果によると、選抜方法は「担当役員推薦」(39%)と「評価結果による選抜」(34%)、「担当部長推薦」(22%)の3つで大半を占めていました。また、中小・中堅企業の多くが、役員・部長などの推薦や、周囲の賛同が得られる実績・成果を出した社員を選抜する方法を採用していることもアンケート結果からわかりました。これに対して大手企業では、演習課題に対する取り組みを分析・評価する「アセスメントなどのツール」を選抜方法に採用している企業が35%にのぼるなど、次世代リーダーの登用、抜てきを行うためのさまざまなアプローチ方法が見られました。

graph03

また、次世代リーダー候補の育成方法に関するアンケート(複数回答可)では、「選抜型集合研修の実施」の33%がもっとも多く、続いて「外部セミナー等他流試合への参画」(27%)、「メイン事業において責任あるポジションへ配置」(18%)、「経営者によるDNA 教育の実施」(15%)という順に。一方で「特に育成をしていない」とした企業が33%と、3社に1社の割合で特別な育成は行っていない現状が見られました。

graph04

さらに、これらの育成施策のなかで効果が高いものについては、「選抜型集合研修の実施」という回答が24%でトップに。続けて「経営者によるDNA教育の実施」、「外部セミナー等他流試合への参画」がそれぞれ2割弱という結果が得られました。

その他、具体的な研修や施策内容について、フリーコメントでの回答も見られました。その内容は経営企画などへの部署異動、社長が指名した社員に特定の研修受講を促すといったものが多く、現在も「経験を積ませてステップアップさせる」という従来の手法が扱われていることが分かりました。

企業の文化が色濃く反映された人事制度も

一方で、次世代リーダーの育成に積極的に取り組み、独自性を強めた人事制度を設けている企業も、ベンチャー企業を中心に多く見られるようになっています。ユニークな次世代リーダー育成を行っている企業といえば、新入社員を子会社の社長に抜てきするなど、若手社員の積極的な登用を行っている株式会社サイバーエージェントが特に知られています。

同社には「CA36」と呼ばれる次世代リーダー育成制度があり、会社の経営戦略を直接社長にプレゼンする場が設けられるなど、経営層に対してダイレクトに意見を発信できるような仕組みが作られています。同社では他にも、事業育成と人材育成を目的とした「CAJJプログラム」や、新規事業案を競い合う「あした会議」、社内異動公募制度の「キャリチャレ」など、ユニークな人事制度を多く取り入れることで、現場や実務を通してリーダーを育てる風土が形成されているようです。

多くの時間を要する施策だからこそ、即座にチャレンジを

もちろん、サイバーエージェントのような施策をすべての企業で行うことは難しいでしょう。しかし、若手社員の積極的な登用・抜てきなどは、多くの企業で取り組める余地が大いにある施策の1つです。少子高齢化が続き、労働人口が減少し続ける未来を考えれば、「次のリーダーにふさわしい人材がいない」と嘆くだけでは、組織の未来も暗くなる一方です。そこであえて、リーダーの職務を遂行するには多少の背伸びを必要とする人材にその職を任せ、奮起を促すといったチャレンジも必要になるかもしれませんし、そうした挑戦が結果的に組織を活性化させるカギとなる可能性も十分に考えられるでしょう。

社内の人材を育てるのか、社外から即戦力のリーダー候補を獲得するのか。いずれにしても次世代のリーダーを育成することは一朝一夕で完了するものではありません。だからこそ「これはやるべきだ」と考えた施策は即座に検討し、手遅れになる前にチャレンジすることが必要です。

初出『HR総研 人事白書2015』(HR総研)

編集:大城達矢(HRレビュー編集部)


「人材獲得競争の勝ち方~会社の未来に差をつける新時代の採用ノウハウ~」を無料でプレゼント中!
ctabanner

人事戦略は経営戦略である、という考え方のもと、母集団形成、決定率の向上、面接官の目線合わせの方法など、攻めの採用戦略に不可欠な考え方・手法・先進事例をご紹介ぜひご覧ください。

Pocket
Share on LinkedIn