ジェネリックスキルの「見える化」で、若手の成長を促す
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どのような職域であっても、大卒者として求められる汎用的な能力・態度・志向を指す「ジェネリックスキル」。このスキルを測定する「PROG」というアセスメントが開発され、すでに20万人を超す大学生が受検し、ジェネリックスキルの「見える化」が進められています。ここでは若手社員のジェネリックスキルを「見える化」することの意味と、大学での取り組みから考えられる、若手社員のジェネリックスキルを伸ばすために必要な施策についてリポートします。

世界で注目される「汎用的なスキル」


ジェネリックスキルは、英国では「Core Skills」、カナダでは「Employability Skills」などと呼ばれ、各国で注目を集めています。PROGを開発した株式会社リアセックの代表取締役CEOである松村直樹氏は、「環境変化が激しさを増すなか、若手のうちから自分の頭で論理的に考え、主体的に仕事を進めていく場面が増えてきています」と、若手社員についてもジェネリックスキルの「見える化」や育成に注目すべき理由を話しています。

ここで、PROGはどんな側面からジェネリックスキルの「見える化」を果たしているのかをみてみましょう。PROGは「新しい問題や、これまで経験のない問題に対して知識を活用して課題を解決する力」であるリテラシーと、「周囲の状況に上手に対応するために身につけた、意思決定・行動指針などの特性」であるコンピテンシーの2つの視点から、ジェネリックスキルを測定します。

ジェネリックスキルを測定する2つの視点

genericskill

最適解のために資料の読解を求める


PROGによるリテラシーの測定では、情報分析力についてデータやグラフの読み取りを求め、課題発見力を見るためロジックツリーの空欄を埋める問題が出されます。「SPIなどの従来のテストが文章の読解力、計算力などのみを取り出しているのに対し、PROGは設定された状況のなかで最適解にたどりつくために、文章や資料の読解を求めます」(松村氏)

若手リーダーの行動特性や判断基準を活用


PROGによるコンピテンシーの測定では「対課題」「対人」「対自己」の3領域で行動特性や判断基準を測定・評価します。30代前半までに役職に就くなど、実社会で活躍する若手リーダーの行動特性や判断基準をデータベース化し、それを評価の基準としています。具体的には、例えば選択肢A「感情に流されず、客観的な状況を分析して判断を下してきた」、選択肢B「客観的な情報よりも、人の気持ちや人間関係に配慮して判断を下してきた」という、どちらも肯定的に捉えられる選択肢に対して、若手リーダーの回答はBの方に統計的に有意な差がありました。そこでPROGではBを選択すると、コンピテンシーのスコアが上がるように設計されています。このように若手リーダーによる実際の回答を評価基準にしてスコアを算出している点が、PROGの特色といえます。

個々人のジェネリックスキルを「見える化」できるということは、それらを伸ばすトレーニングも可能になります。実際に、PROGを導入している大学では、プロジェクト型やグループワークなど、ジェネリックスキル向上に効果がある授業の前後に、学生がPROGを受検。その測定結果を用いてPDCAを回しているといいます。

対人コンピテンシーの鍛錬で、対自己も高まる


こうした大学での実践から、企業の若手社員のジェネリックスキル育成で参考にできることとして、松村氏は2つのポイントを挙げています。第1は「対人コンピテンシーを鍛えると、対自己のコンピテンシーも上昇する」ということです。「例えば、他者と協働するプロジェクトを進めていくと、うまく人を巻き込んだりモチベーションを高めたりしているうちに、自己の感情コントロールも向上するようです」(松村氏)。主体的な協働経験を積むことは、実践のなかでの課題解決力であるリテラシーも向上させます。企業でいえば、若手主体の部門横断プロジェクトや、異業種の企業が集まって何らかの課題解決に取り組む研修などに参加させることが効果的でしょう。

MBO面談などで、上司との対話を重視

第2のポイントは「内省の大切さ」です。何らかの協働プロジェクトが終わったら、「自分がこういう取り組みをしたから、こういう結果につながった」「このような成功の原因を自分で創り出せたから、成功できた」などと振り返りの機会を持つことが重要です。自分の行動を振り返ることが、課題が実行できるという期待や自信である「自己効力感」の向上につながっていきます。こうした内省は、上司との対話を通じて促されるため、MBO(目標管理)の面談などでの対話を重視するべきだといえます。

若手社員育成のため、すでに部門横断プロジェクトやMBO面談を重視しているという企業もあるかもしれません。しかしそういった企業であっても、PROGによるジェネリックスキルの計測は、「次のプロジェクトで、どんなジェネリックスキルを伸ばすのか目標を設定する」「数値化されたスキルを通じて、対話や内省を深める」といった活用が可能となります。若手社員のさらなる成長を促すため、「ジェネリックスキルの『見える化』」は、今後見逃せないキーワードとなるでしょう。

文:五嶋正風
編集:雨宮秀樹(HRレビュー編集部)


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