元米国P&G会田秀和氏が語る「経営を変える、攻めの人事へ」―変革に必要なてこ入れ
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元P&G(ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー)米国本社の組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント、会田秀和氏による「経営を変える、攻めの人事へ」と題した本連載(全14回)。第5回は「変革に必要なてこ入れ」というテーマでお送りします。

>>「経営を変える、攻めの人事へ」連載記事一覧はこちら

 

変革に必要なてこ入れ

変革とは問題を解決すること、良くないところにてこ入れすることです。このてこ入れは、戦略・組織・組織の文化・リーダーシップという4つについて行う必要があります。この4つは連環的につながっており、どれかひとつでも欠ければほかに影響が及び、変革はうまくいかなくなります。

戦略なくして変革なし

まず、すべての軸となるのが戦略です。戦略がないところに変革は起こりません。私はいくつかの会社でコンサルティングをしていますが、セールス主導で戦略がない会社をよく見かけます。セールスだけを考えている会社は、1カ月先、1年先しか見ていません。業績・売上にしか目が向かないからです。どこで戦い、どのように勝つか、そこにどのような能力が必要かといったことを考えていません。「組織風土を変えなければならない」と言いながら、「なぜ変えなければならないか」という理由がないのです。つまり、戦略がないということです。それではいくら会社を変えようとしても変わりません。

人事が「人」のことだけ考えていては、変革は起きない

戦略にてこ入れしたら、続けて組織、組織文化、リーダーシップにてこ入れしなければなりません。どれかひとつをてこ入れするだけでは、変革は起こせません。すべてにてこ入れすることが重要なのです。

人事はとかく「人」へのてこ入ればかり考え、組織のデザイン、ワークプロセス、構造へのてこ入れは考えません。だから変革を主導できないのです。人事は「人」だけでなく、もっと広い領域のプロであり、戦略・組織・組織の文化・リーダーシップの4つすべてにてこ入れする役割を担っているのです。

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P&Gにおける、戦略を軸とした変革の展開

続いて、戦略を軸としたこれらのてこ入れをP&Gでどのように実践したかを簡単に紹介しましょう。

まず、業績に結びつけた変革の理由付けを明確にし、経営幹部の団結と決意の確認・表明を行いました。変革は最初に「なぜそれをやらなければならないか」という理由付けが必要であり、さらに経営陣が一体となって変革に挑むという決意・決心がなければ始まらないからです。

変革の決意・決心がない経営陣には、人事が業績のギャップを明示するべき

変革を行う理由があるのに経営陣に決意・決心がない場合は、人事がリーダーシップをとって決意・決心させる必要があります。そのためには、業績のギャップを明確にすればいい。「業績がこんなに下がっている」「なんとかしなければ会社が危ない」ということを明示するのです。そもそも、業績にギャップがないのであれば変革など必要ありません。業績になんらかのギャップがあり、問題があるから変革を行うわけです。そのギャップを突きつけ、これをそのままにしておくと将来どのようなことになるかまではっきり見せれば、経営陣は立ち上がらざるを得なくなります。

これが「命にかえても主君を諫める」という武士道精神であり、変革において人事が果たすべき役割なのです。

 

>>「経営を変える、攻めの人事へ」――【第6回】P&Gが抱えていた問題

 

【著者プロフィール】

元P&G米国本社 組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント/AIDA LLC代表

会田秀和氏

写真_会田氏

ブリガム・ヤング大学マリオット・スクール・オブ・ビジネスで組織行動学修士を取得後、オハイオ州シンシナティ市にあるP&G本社に入社。同社において、人事および組織デザインの社内プロフェッショナルとして、P&Gフィリピンの改革、P&GジャパンとP&Gコリアのグローバル化、P&Gグレーターチャイナの改革などを手がける。現在、AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として経営戦略、組織デザイン、戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行っている。他にアストラゼネカ株式会社の社外取締役、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)も務める。著書に『P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件』がある。

 

初出『経営を変える、攻めの人事へ』(HR総研) 編集:HRレビュー編集部

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