元米国P&G会田秀和氏が語る「経営を変える、攻めの人事へ」―「グローバル能力」をいかに開発するか
Pocket
Share on LinkedIn

元P&G(ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー)米国本社の組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント、会田秀和氏による「経営を変える、攻めの人事へ」と題した本連載(全14回)。第11回は「『グローバル能力』をいかに開発するか」というテーマでお送りします。

>>「経営を変える、攻めの人事へ」連載記事一覧はこちら

ダイレクト・リクルーティングの採用成功事例

「グローバル能力」をいかに開発するか

グローバルスキルの育成も大きな課題でした。

P&Gには世界で約350のブランドがありますが、日本で販売しているのはそのうちたったの22にすぎませんでした。それは海外で創り出されたイノベーション(新商品、ブランドの革新)を日本に導入し展開する能力が欠如しているからです。 

日本でイノベーションを起こすには、世界各地で展開しているイノベーションを導入しなければなりません。そして中国など世界各国とイノベーション獲得の競争をしていかなければなりません。

英語力は、グローバル能力以前の問題

そのためのコミュニケーションは英語で行われるため、英語力をつけなければなりません。だから英語も戦略的能力のひとつとして位置づけられました。「グローバル能力」の前提となるのが英語力なのです。グローバルでの交渉を担うP&Gのリーダーには英語力が必須であり、P&Gジャパンから日本人のリーダーを排出し強靭な組織を作っていくにはまず、英語力強化が必要でした。

仕事で使える英語力を身につけるには単なる英語教育では足りない。英語で仕事をする環境を作って初めて実現すると考えたわれわれは、社内言語をはじめイントラもすべて英語に切り替えました。また、テストで英語が話せなければ課長職以上に昇進できないなど、英語力がなければやっていけない組織を作り上げました。

しかし、英語力はあくまでも「グローバル能力」以前の問題。われわれが考える「グローバル能力」とは、次に挙げる5つのスキルです。

「専門能力」のない人は世界では相手にされない

_D059762

最初に挙げるのは、たとえば人事や財務、マーケティングといった「専門能力」。これを持っていることが世界と戦ううえでは非常に重要です。専門能力がベースと位置づけられている理由は、これがないと世界で戦っていけないからです。英語ができても専門能力がないために、世界中どこへ行っても相手にされない人を私はたくさん見てきました。英語が話せない日本人は無視されますが、専門能力がない日本人はばかにされるのです。

次にくるのが「グローバルコミュニケーション能力」です。ここでいうコミュニケーション能力とは、日常生活で使う英語力とは違い、ビジネスの世界で通用する態度、振る舞い、行動です。あなたの会社ではグローバル化ということで単に「英語ができる人」を雇っていないでしょうか? いくら英語が話せても、専門能力とグローバルコミュニケーション能力がなければ役に立たないのです。

この2つの能力をベースとして、価値観や立場、利害が異なる海外の組織や人と交渉する「異文化対応力」と、戦略的にものを見、考え、相手を動かし成果を生み出す能力「戦略的志向」が必要となります。

そして最後の5つ目の能力が「リーダーシップ」です。リーダーシップとは、与えられた仕事で結果を出すのではなく、状況を見てそれに対応する新たな方法や仕組みを考え、組織を引っ張っていく能力です。

「グローバル能力」とは、5つのスキルの総合力である

これら5つの総合力が、グローバルに戦い、会社の経営・事業に貢献するために必要な「グローバル能力」なのです。P&Gジャパンでは、「グローバル能力」とは何かを明確にしたうえで、それぞれの能力を開発するための教育システムを作りました。「グローバル能力」の開発は、単なる語学教育ではなく、事業戦略と密接に結びついたいくつもの能力をそれぞれの開発プログラムによって育成していかなければならない。このことをぜひ理解していただきたいと思います。

>>「経営を変える、攻めの人事へ」――【第12回】世界で戦うために戦略的組織を構築する

 

【著者プロフィール】

元P&G米国本社 組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント/AIDA LLC代表

会田秀和氏

写真_会田氏

ブリガム・ヤング大学マリオット・スクール・オブ・ビジネスで組織行動学修士を取得後、オハイオ州シンシナティ市にあるP&G本社に入社。同社において、人事および組織デザインの社内プロフェッショナルとして、P&Gフィリピンの改革、P&GジャパンとP&Gコリアのグローバル化、P&Gグレーターチャイナの改革などを手がける。現在、AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として経営戦略、組織デザイン、戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行っている。他にアストラゼネカ株式会社の社外取締役、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)も務める。著書に『P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件』がある。

初出『経営を変える、攻めの人事へ』(HR総研) 編集:HRレビュー編集部

冊子「先行企業が明かす採用成功ノウハウ~人材獲得競争を勝ち抜くために」を無料でプレゼント
ctabanner

「ダイレクト・リクルーティング」を実践し、人材獲得競争を勝ち抜いている先行企業のノウハウをまとめました。(事例紹介企業)すかいらーく、日本GE、ファミリーマート、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、大幸薬品、西川産業、スターフェスティバル、セキチュー他

Pocket
Share on LinkedIn