元米国P&G会田秀和氏が語る「経営を変える、攻めの人事へ」―世界で戦うために戦略的組織を構築する
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元P&G(ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー)米国本社の組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント、会田秀和氏による「経営を変える、攻めの人事へ」と題した本連載(全14回)。第12回は「世界で戦うために戦略的組織を構築する」というテーマでお送りします。

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世界で戦うため、戦略的組織を構築

P&Gでは、強みである「イノベーション」を起こし続けていくために、社員の戦略的能力の開発・育成と並行して、戦略的組織の構築も行いました。社員の能力を高められたとしても、それを生かせる組織でなければ機能しないからです。グローバル規模で、1999年から2005年にかけて取り組みました。

4つの組織に役割を分担しビジネスを効率化

P&Gは、大きく分けて4つのグローバル組織で成り立っています。

・Global Business Unit(GBU)

・Market Development Organization(MDO)

・Global Business Service(GBS)

・Corporate Function(CF)

GBU(Global Business Unit)は事業分野別の組織であり、各組織の本部は世界中に点在しています。たとえば、ベビーケア事業の本部はシンガポール、ファブリックケア/ホームケア事業の本部はアメリカ、ヘルスケア事業の本部はヨーロッパにあります。各GBUが世界を見渡し、どこでどのようなイノベーションが必要かを考えて新商品などを展開していきます。

GBUが導入を決めたイノベーションを世界各地で実践する組織がMDO(Market Development Organization)です。P&GジャパンはMDOの一員ということになります。各GBUからさまざまな新商品が同時に流れてくるため、MDOにはそれらを各エリアの市場に同時展開する能力と、それを可能にする組織力が必要になります。

GBUやMDOに加えて、世界共通のさまざまなサービスを提供する組織も構築しました。給与計算やファイナンス、ITなどを担うGBS(Global Business Service)と、人事、法務、広報などを担うCF(Corporate Function)です。こうした業務は「アジア」などのように大きなエリアごとに集約し、スケールメリットを生かして効率化しています。

このグローバルな戦略的組織の構築によって、P&Gは革新的な新商品をより低価格で消費者に提供できるようになりました。P&Gの戦略的組織はグローバル企業のお手本となるものであり、世界中のさまざまな企業がこの組織構造を取り入れています。

グローバル企業へ転換するには文化の変革も必要

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こうしてP&Gはグローバルな企業へと生まれ変わりましたが、その過程では、大きな文化的変革も行いました。グローバル規模の変革を実施する際は、よく、「ここは日本だからこれはできない」といったネガティブな発言が飛び交いますが、そのような言い訳は通用しません。P&Gがグローバル企業へと転換できたのは、グローバル化に必要となる戦略的な人材育成・組織開発に加え、文化的変革に成功したからでもあるのです。

社員の戦略的能力の育成には、実行性のある仕組みづくりが不可欠

ところで、社員の戦略的能力の育成について、以前この連載で触れましたが、あらためて少し補足します。P&Gでは、戦略的ワークプロセスを効率化するため、戦略的能力の育成に必要な仕組み戦略的な仕事の方法を以下のように定義しました。

  1. 戦略開発・管理システム
  2. Initiative 管理システム
  3. Art Work 制作システム
  4. 人材育成システム

 

人材育成システムにおいては次のようなポイントを重視しました。

・Function Career 
たらい回し的なキャリア形成ではなく、部門別のキャリア形成を実行する

・Management Accountability
マネージャーが責任を持って部下の人材育成を行う

・Engagement Work Environment 
わくわくするような職場づくりを通じて、社員の自発的な成長を促す

・Employee Ownership
社員がP&Gを自分の会社であると感じられるような施策を実行する

社員の戦略的能力を育成するためには、こうした仕組みを一つ一つ構築し、実行することが極めて重要です。社員は、会社がどういう仕組みや制度をつくるか、常に見ています。その取り組み次第で、会社がどれだけ社員を大切にしているかがわかるからです。「人材が大切」と理念に掲げていたとしても、実行性が伴わなければ大切にしていることにはならないのです。

>>「経営を変える、攻めの人事へ」――【第13回】陳腐化した組織文化は日本企業の見えない病

【著者プロフィール】

元P&G米国本社 組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント/AIDA LLC代表

会田秀和氏

写真_会田氏

ブリガム・ヤング大学マリオット・スクール・オブ・ビジネスで組織行動学修士を取得後、オハイオ州シンシナティ市にあるP&G本社に入社。同社において、人事および組織デザインの社内プロフェッショナルとして、P&Gフィリピンの改革、P&GジャパンとP&Gコリアのグローバル化、P&Gグレーターチャイナの改革などを手がける。現在、AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として経営戦略、組織デザイン、戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行っている。他にアストラゼネカ株式会社の社外取締役、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)も務める。著書に『P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件』がある。

初出『経営を変える、攻めの人事へ』(HR総研) 編集:HRレビュー編集部

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