元米国P&G会田秀和氏が語る「経営を変える、攻めの人事へ」―文化は数値化し、測定できる
Pocket
Share on LinkedIn

元P&G(ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー)米国本社の組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント、会田秀和氏による「経営を変える、攻めの人事へ」と題した本連載(全14回)。最終回は「文化は数値化し、測定できる」というテーマでお送りします。

>>「経営を変える、攻めの人事へ」連載記事一覧はこちら

ダイレクト・リクルーティングの採用成功事例

組織文化形成のために、組織文化を数値化して測定する

組織文化形成のためにいろいろなてこ入れを行ううえで大切なのは、組織文化を測定することです。組織文化は感覚的で曖昧なものと思われがちで、それが古い組織文化を変えることができない理由(言い訳)になっています。しかし、ビジネスでは数値管理を徹底し測定するのに、どうして組織文化を数値で測定しないのでしょうか?

われわれは組織文化を曖昧なものにせず、数値化し測定できるようにしました。測定できれば、組織文化が変わったかどうかを客観的に評価できます。だから組織文化の変革も達成できるのです。

女性活用の7つの指数を管理し、ダイバーシティを推進

ダイバーシティを例にとって、組織文化の測定の仕方を紹介しましょう。まずダイバーシティ戦略を、必要な要素の相関図としてチャート化しました。これによって、どのようなことを達成しなければならないかがわかります。

女性の活用は非常に重要な課題であり、日本企業は能力のある女性を活用しない限り世界的な一流の組織になれませんし、イノベーションは生まれません。男性中心の組織文化は直線的な文化であり、インテグレーションができないからイノベーションは生まれないのです。そこに、女性を活用することで直線的な文化に変化が生まれます。こうした理論付けをきちんとやっていく必要があります。

次に、女性活用の度合いをスコアカードにしました。女性の割合、採用率、昇進、離職率などの7項目にわたって数値で評価することで、女性活用を推進しました。

さらに、ダイバーシティをどれだけ達成したかを、管理者レベルごとに評価できる成果表を作成しました。スコアで測定した数値を成果として、管理者の達成度に落とし込むのです。これによって、どの部署がどれだけ達成したか、どこに問題があるかが一目瞭然になります。私はこれらを部門別にすべて把握し、達成できていない部門には警告を発し、管理者に責任を取ってもらいました。これにより、ダイバーシティは大きく進展しました。

社員アンケートで組織課題を洗い出す

企業の文化、社員のオーナーシップ、エンゲージメント、やる気といったものも、数値化し測定することができます。P&Gではこれを「P&G Employee Survey」という社員へのアンケート調査を通じて実施しました。

具体的には、社員に「P&Gで働くことを誇りに思う」「私の仕事は部門の成功にとって大切である」「P&Gには私にとって興味深いキャリア機会がたくさんある」「私は会社に自分にできる最大の貢献をしている」「私は積極的に新しく効率的な方法を提案している」「仕事を通して私は新しいスキルと能力を養っている」などの項目からなるアンケートを実施。算出した回答比率から、毎年、組織の熱を測定し、課題を洗い出しました。

また、組織ごとに「Learning and Growth」「Leadership」「Personal Well-Being」「Meaningful Work」「Employer of Choice」「Career and Guidance」「Work/Life Effectiveness」といった項目を数値化し、責任をもって達成させる評価方法も実施しました。

評価に用いる数値は、ビジネス(の成績)と組織のケイパビリティ(能力)それぞれの評価数値を足して算出します。このレーティングシステムで評価し、達成できていない部門の管理者には責任を取ってもらいました。

P&Gで行った変革--日本企業の再生は人事のリーダーシップで達成される

最後にもう一度、P&Gで行った変革の全体を振り返ってみましょう。ビジネス環境からビジネス戦略を作り、それに基づいて組織をデザインし、必要な組織文化を創り、戦略を実行することによって、初めてビジネスの結果を生みだしました。このすべてが人事のビジネスです。この変革全体に関与し、変革を推進し、目標に向かって他の部門をサポートするのがこれからの人事です。

もう一度言いましょう。私が訴えたいのは「人事リーダーが企業を再生する」ということです。そのためにはまず、人事の使命を見直し、新しい役割に挑まなければなりません。そこでは使命に必要な専門知識の習得、より深いビジネスの理解が不可欠です。そして、変革をリードする人事リーダーを育成しなければなりません。

人事が企業再生を遂行できれば、素晴らしい会社を創ることができます。私は人事の人たちと力を合わせて日本の企業を再生したい。日本のルネサンスを実現するために貢献したい。ここで語ってきたやり方を貫けば、変革は必ず成し遂げることができます。その成否は人事リーダーにかかっているのです。


【著者プロフィール】
元P&G米国本社 組織変革・HR担当ヴァイスプレジデント/AIDA LLC代表
会田秀和氏

写真_会田氏

ブリガム・ヤング大学マリオット・スクール・オブ・ビジネスで組織行動学修士を取得後、オハイオ州シンシナティ市にあるP&G本社に入社。同社において、人事および組織デザインの社内プロフェッショナルとして、P&Gフィリピンの改革、P&GジャパンとP&Gコリアのグローバル化、P&Gグレーターチャイナの改革などを手がける。現在、AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として経営戦略、組織デザイン、戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行っている。他にアストラゼネカ株式会社の社外取締役、ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授(組織行動学)も務める。著書に『P&G流 世界のどこでも通用する人材の条件』がある。
 
初出『経営を変える、攻めの人事へ』(HR総研) 編集:HRレビュー編集部
 

冊子「先行企業が明かす採用成功ノウハウ~人材獲得競争を勝ち抜くために」を無料でプレゼント
ctabanner

「ダイレクト・リクルーティング」を実践し、人材獲得競争を勝ち抜いている先行企業のノウハウをまとめました。(事例紹介企業)すかいらーく、日本GE、ファミリーマート、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、大幸薬品、西川産業、スターフェスティバル、セキチュー他

 

Pocket
Share on LinkedIn