採用候補者の潜在能力を推し量れる「コンピテンシー面接」
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リーダー候補を見極めるのに適した「インシデントプロセス面接」を解説した~面接のトリセツVol.1~に続いて、Vol.2では、採用候補者の潜在能力を推し量れる「コンピテンシー面接」を取り上げます。

「コンピテンシー面接」は、評価のブレを少なくし、見込み違いの発生を防ぐのに有効

面接で優秀だと判断した人材が、入社後、期待したほどの成果を出せなかった。このような苦い経験をお持ちの人事・採用担当者にご紹介したいのが、「コンピテンシー面接」です。「コンピテンシー(competency)」は、適格性、行為能力などと訳されます。ここでいう「コンピテンシー面接」は、その人の適格性、業務遂行能力を見極め、行動特性を明らかにできる面接手法で、特に経験の浅い若手の面接の場で使われることが多くなっています。

採用面接では、短い時間で候補者の能力を多角的に見極めなければなりません。そのため、志望理由をはじめ、自己PR、前職・学生時代の取り組み、キャリア観、将来像など、さまざまな角度から質問をして、その受け答えによって総合的に判断するのが、一般的な面接のやり方です。しかしこの場合、面接官によって質問方法や評価基準にバラつきが出てしまい、本来、候補者が持っているポテンシャル(もしくはポテンシャルのなさ)を見抜けないことがあります。

たとえば、判断ポイントをできるだけ多く得ようとして、経験の浅い面接官がマニュアルどおりの質問に徹した結果、候補者が事前に準備した美辞麗句を聞くに留まり、内容を深掘りせずに面接を終えてしまうケース。この場合、本人への期待値と実際のスキルとのあいだに乖離が発生し、冒頭に挙げた「優秀だと思ったのに見込みと違った」という事態が起こってしまいがちです。

「コンピテンシー面接」は、面接の評価のブレを少なくし、見込み違いの発生を防ぐのに有効な面接手法です。

実施方法は難しくありません。候補者の過去の取り組みに関して質問を重ねて、具体的に事細かに掘り下げていくだけです。これにより、候補者の「行動動機」「思考方法」「実務能力」などをあぶりだします。候補者が説明する一連の内容(取り組みにおける問題解決プロセスなど)に矛盾がなく、候補者が持つスキルなどが自社においても再現性があると感じられれば「コンピテンシーレベルが高い」、すなわち「適格性がある」「業務遂行能力が高い」と評価できるのです。そして、この「コンピテンシー面接」の手法と効果を面接官が正しく理解できていれば、誰が面接官を務めても同じ手順で実施できます。

また、候補者が質問に対してうそや誇張で取り繕おうとしても、質問を重ねていくとボロが出やすいため、候補者の素の実力がわかりやすいというのも、この面接手法の利点です。特に若手は自ら主導的な立場で仕事を進める機会が少なく、チームで達成した成果を自分の成果と誇張しがち。そこを見抜けるという点が、「コンピテンシー面接」が若手の面接に有効といわれる理由のひとつです。自ら主体的に成果を出すことに貢献した経験があれば、こちらの質問に矛盾なく答えてくれることでしょう。

「コンピテンシーレベル」の評価基準

「コンピテンシー面接」の実施方法を面接官に理解してもらったら、次に必要なのが、評価基準の共有です。候補者をより客観的に判断するために、面接後の評価シートの項目として以下の5段階の「コンピテンシーレベル」を印字し、実際の評価を記入してもらうことをおすすめします。

※参考:『コンピテンシー面接マニュアル』川上真史、 齋藤亮三 著 弘文堂

レベル1 受動行動
人から指示されるのを待って、言われたことをその通りに実行した。または、自分がやらなくてはならない状況に追い込まれたから仕方なくやった。主体性や思考の一貫性が感じられない、その場しのぎの行動です。

レベル2 通常行動
「この状況なら誰でもそうするだろう」という行動を、やるべき時に行えるレベル。必要最低限の行動を過不足なく行えますが、独自の意図は見られない、普通レベルの行動です。

レベル3 能動・主体的行動
ある状況において、複数の策のなかから自分の意思で最善策を選び、実行できるレベルです。決められたルールのなかで、よりよい成果を出すために何をすればいいのかを考えて選び、実行できます。とった行動の背景には、自分なりの意図や判断基準があります。

レベル4 創造、課題解決行動
状況に即した判断から一段上がり、独創的なアイデアを出し、状況を改善していけるレベルです。創意工夫や状況改善を自ら進んで行い、PDCAサイクルを回して、より高い成果を生み出せます。

レベル5 パラダイム転換行動
斬新な視点で既成概念を覆すアイデアを出せて、より望ましい新たな状況を作り出していけるレベルです。ゼロから価値を生み出すことを期待できます。

募集ポジションによって求められる能力は異なりますが、ビジネスシーンで成果を挙げるためには、レベル3が一つの目安となるでしょう。レベル4、5となると、自社の状況に変革をもたらし新しい価値を生み出せる優秀な人材といえます。

「一般的な面接」と「コンピテンシー面接」の違い

具体的に「一般的な面接」と「コンピテンシー面接」の違いを表で整理して見てみましょう。

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まとめ

あらためて「コンピテンシー面接」のメリットを以下にまとめます。貴社の状況に合わせて利用してみてください。

【コンピテンシー面接のメリット】

  • 候補者の経験談から、自社で活躍できる潜在能力があるかどうかを見極められる
  • 若手から経験豊富な人材まで幅広く活用できる
  • 質問に対して候補者がうそをつきにくいため、素の実力がわかりやすい。特に若手人材の面接の際にありがちな、成果の誇張を見抜くことができる
  • どの面接官でも同じ手順、同じ評価基準で実施できるため、客観的評価を行いやすい

<参考>「コンピテンシー面接」の質問方法は、Googleも実践する「行動面接」の質問方法と同じ

候補者の過去の取り組みについて質問を重ねて細かく聞き出す「コンピテンシー面接」のアプローチは、Googleで採用している面接方法「構造化面接法※」のなかの一つ、「行動面接(STAR面接)」と基本的な骨格は変わりません。

(※構造化面接法=マニュアルに沿って実施することで、誰が面接官を務めても面接の評価が安定しやすい面接手法)

「行動面接」では、当時の状況(Situation)において、そのとき抱えていた課題(Task)に対して、どのような行動(Action)をとり、どのような成果(Result)を出したのかについて、面接官は「STAR」の順に質問を重ねて掘り下げていきます。「コンピテンシー面接」でも同様の手順で質問を行うことで、面接官ごとの評価のバラつきを最小限にし、客観的な評価を得ることが可能です。それぞれの質問例は、下記のリンク先の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:Googleも採用!採用ミスマッチを防ぐ「構造化面接法」を実践するための3つの重要ポイント

※面接のトリセツVol.3では、「プレゼンテーション面接」を取り上げる予定です。

(文:HRレビュー編集部:高梨茂)

 

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