一層ハイレベルになってきた海外スタートアップの採用戦略の傾向
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今日の企業が厚遇しなければならないのは顧客のみならず、企業を支えている従業員にもあてはまります。とりわけ米国のスタートアップにおいては優秀な人材の獲得競争が一層激しくなっています。

他社よりも自社で働くメリットを示すことができなければ、優秀な人材の獲得は非常に難しい状況です。そのため海外のスタートアップの採用戦略はよりハイレベルになっています。一体どんな採用戦略が重視されているのかご紹介します。


エンプロイヤー・ブランディングを重視


海外ではEmployer Branding(エンプロイヤー・ブランディング)という働きやすさ、働きがいという観点での企業のブランディングが定着しています。

このエンプロイヤー・ブランディングには従業員にとって働きやすい社内制度、企業の価値観などが含まれます。海外のスタートアップは優秀な人材を採用するために最新の人材採用ツールを利用するのみならず、社員が働く環境、企業の価値観を魅力的にして社員を惹きつける傾向が見られます。

福利厚生

サンフランシスコに拠点を持つインターネット広告会社のPaperGの調査によると、スタートアップはジムのメンバーシップや、有給で取得できる育児休暇を福利厚生として従業員に与える傾向にあるといいます。

また、テックスタートアップのTreehouseは人材採用における多くの競合他社がいるテックスタートアップ業界において差別化を図るため、木曜日の夕方にはオフィスを閉め、金曜日には従業員が家族と過ごせるよう休日にしています。

TreehouseのチーフエグゼクティブのRyan Carson氏は採用面接で、GoogleやFacebookに行く候補者に対して「あちらの会社では週休3日で勤務できるのですか」と問いかけるそうです。

働きやすい環境の整備

■個人のオフィススペース
生産力向上のためのプロジェクト管理ツールを提供するAsanaはなんと1万ドル(約110万円)を従業員個々のオフィススペースを整えるための費用として支給しています。

その費用を立ったまま仕事ができるスタンディングデスクなどに購入に充てている従業員も多いそうです。

■在宅勤務制度
データ解析ツールを提供するBaremetrics、製品開発の協働を支援するツールを提供するInVisionなどのスタートアップは、従業員がどこからでも働ける在宅勤務を採用しています。

在宅勤務という勤務体系でないと働けない人の中には多くの優秀な人材がいます。そのような人材を在宅勤務制度を導入することで獲得することができます。

■候補者の採用体験満足度の向上
顧客体験の満足度の向上に関してWeb接客(チャットツールなど)のツールが続々と登場してきており、多くの企業が取り組んでいますが、人材採用における候補者の採用体験満足度に関しては放置している企業が多いのが現状です。

米国において42%もの応募者が採用体験に際して悪い印象を持ったと答えているほどです。
一方で、顧客体験満足度の向上に関しての取り組みを候補者の採用体験に対して応用していく動きも出始めています。

部屋の賃貸サイトAirBnBは顧客がどのような段階でどのように行動、感じているのかの過程をマップにしたカスタマージャーニーマップを利用して顧客体験満足度の向上に取り組んできました。(参考:https://business.linkedin.com/talent-solutions/blog/2014/03/airbnb-candidate-experience-makeover

同社は短期間で急激に成長したこともあり50人から500人に社員を増やすことになりました。その際に多くの人材を募集したのですが、その上限をはるかに上回る応募がありました。

しかし、本業の多忙さや採用プロセスが未整備だったこともあり、候補者を雑に扱っていた時期があったそうです。
その採用体験の悪さから優秀な人材が採用選考を途中で辞退したり、内定者の50%〜60%しか入社しない状況だったそうです。

そこでその状況を改善するためにカスタマージャーニーマップを採用プロセスに当てはめて、候補者の採用体験満足度を向上するためにしかるべき手を打ったそうです。その結果エンジニアの内定者の入社率は80%に改善しました。


価値観の共有と透明性


優秀な人材にとっては福利厚生もさることながら働きがいも企業を選ぶ際の大きな要素です。スタートアップでは価値観の共有と透明性の確保に取り組んでいます。

価値観の共有

https://asana.com/company

前述のAsanaは価値観の共有を細部にわたって徹底しています。社名のAsanaは健康維持のためのヨガのポーズを意味しており、Asanaは精神的な充実や平静を保つことをその価値観に掲げています。

これはただ単に口だけのメッセージではありません。Asanaがフルタイムで雇用しているシェフがつくったオーガニック素材の料理を社員に提供したり、ヨガをするための時間を業務時間内に確保したりと従業員がその価値観を共有できるような体制を整えています。

また、Asanaの価値観についてもサイト上で発信しています。優秀な候補者ほどこれらのメッセージに敏感に反応します。

透明性

https://open.buffer.com/transparent-salaries/

著名なスタートアップは優秀な人材を採用するために、そのスタートアップの社内のことがクリアにわかる透明性のあるブログを人材採用に活用しています。

BufferはCEO含む従業員の給料をブログで公開しました。その際は求人への応募がこれまでの2倍になったそうです。CEOのJoel Gascoigne氏は「過去にこれだけ早いペースで優秀な人材を見つける時期なんてなかった」と語っています。

このような価値観の共有と透明性は候補者の企業への信頼を育て、良い人材を惹きつける武器になります。


データ主導の採用戦略


海外では採用において面接官の経験や感覚を基準にするのではなく、データを分析してそれに基づいた採用戦略を立てる企業が増えています。

またそのデータ主導の採用を手助けするツールを提供する企業も多く登場し、それらを利用した以下のような戦略が用いられています。

候補者像を定量、明文化

データ主導の採用においては求める候補者のスキル、経験をスコアとして定量的に測れる指標を作成したり、定量的に測れないものや定性的なものは明文化します。

候補者を見つける

https://www.entelo.com/

データ主導の採用を支援するツールにEnteloがあります。
EnteloはFacebook、Twitter、LinkedInなどのインターネットから収集した候補者の情報を分析し、自社の候補者像に適した人材を自動的に推薦してくれます。
また候補者に適した連絡手段もSNSの利用頻度などから判定し推薦してくれます。

候補者を選抜する

https://www.hirevue.com/

HireVueは候補者との対面面接の代わりにビデオ面接をインターネット上で実施できる採用サービスで、アップルやナイキをはじめとする大企業に利用されている実績もあります。

このHireVueでは設定した質問に候補者に応えてもらいその様子をビデオで撮影します。そしてその動画を採用する側の企業が見ながら選抜することができます。

HireVueには過去の候補者のビデオ面接のデータから導かれる独自のアルゴリズムで候補者の意欲、性格、情熱を予測する予測分析機能があります。

この予測分析機能で優秀な候補者を自動的に選出し、その候補者への連絡も自動的に代行させることができ労力を削減できるので、最終的に選出された人たちにのみ対面面接を行うことができます。

このようにデータ主導の採用では精度の高い、労力を大幅に削減できる採用が可能になります。


いかがでしたでしょうか?今回ご紹介したような海外スタートアップの採用戦略は日本においても当たり前のようになってくるでしょう。

優秀な人材というのはいつでも不足しているものですし、その人材を獲得するために企業は惜しみない投資をするからです。引き続き、国内・国外ともに採用戦略の傾向に注目していきます。


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