今月のプロ・リクルーター(第1回) 株式会社BuySell Technologies 市川様 「人事は最大のプロフィットセンター」
Pocket
Share on LinkedIn

少子高齢化、労働力人口の減少、経営環境の変化などにより、人材獲得競争はますます激化しています。人事担当者に求められる能力はより高度に、活動領域はより広範囲になっていく今、企業が人材獲得競争を勝ち抜くための採用プロフェッショナル、「プロ・リクルーター」の存在が注目されています。

本連載では、ダイレクトリクルーティングを積極的に取り入れ、「プロ・リクルーター」として活躍、実績を挙げている企業の経営者や人事担当者を表彰させていただき、人事業務に対するポリシーや取り組みを伺います。

第1回は、株式会社BuySell Technologiesの執行役員であり人事部長も務める市川智久様です。

株式会社BuySell Technologies様は、リユース分野に最先端のIT技術とマーケティング手法を取り入れ、サービス開始から6年で従業員約600名、年商89億円の大規模ベンチャーに急成長を遂げております。

この成長を「優秀な人材の採用」で支え続けているのが、全社の採用統括を担当する、執行役員 人事部長の市川智久様。

急激な成長を遂げ、変化が求められ続ける同社で、経営陣・現場メンバーを巻き込んだ徹底したスピード感と高いコミュニケーション力により、会社全体で強いダイレクトリクルーティングを実現し、組織活性や業績貢献に大きく寄与しています。常に「採用ファースト」で、一人一人に丁寧に向き合う姿勢から、今回の受賞となりました。

 

<プロフィール>
市川 智久様
株式会社BuySell Technologies 執行役員 人事部長
中央学院大学法学部卒。2009年、大手住宅メーカーに入社。採用戦略策定、人事制度構築、労務管理、人材配置、組織活性等、人事領域全般に従事。その後リユース企業の人事マネージャーを経て、2015年4月、人事部長として同社に入社。2018年4月に執行役員就任。

 

 

弊社が採用において大事にしているのは、「徹底した採用要件定義」「人間味あふれるアプローチ」「採用ファースト」の3点です。

 

1.「経営目線」と「現場目線」をすり合わせた採用要件定義

1つ目の「徹底した採用要件定義」ですが、採用活動を始めるにあたって、極めて重要な業務と考えています。どのような人材が必要であるかを、経営陣はもちろん、現場スタッフと「求める人材像のイメージ」を徹底的に議論し、ペルソナを描きます。ポイントは経営目線と現場目線に温度差がないようにすることです。

特にダイレクトリクルーティングでの採用対象となる方は、マネジメントレイヤー以上の方です。現場メンバーから見れば自分の上司となるわけですから、ここがずれてしまうと、採用はできたとしても、その後のチームパフォーマンスにはつながりません。
事業戦略を人事戦略に落とし込むプロセスを共有することで、採用活動を通じて、全社が同じ方向を目指します。また私のみならず、採用に関わるメンバーが採用というものに当事者意識を持つようになります。なので、このヒアリングに相当の時間をかけて実施しています。そして何より私自身が事業戦略を深く理解し、かつ求める人材像を明確に描けなければ、的確なアプローチができません。だからこそ「徹底した採用要件定義」が必要不可欠なのです。

 

2.候補者一人一人にカスタマイズしたメール。ポイントは「人間味

2つ目は「人間味あふれるアプローチ」です。ファーストコンタクトとなるメールは、候補者の方へのいわば「ラブレター」。下手な文章でも構いません。定型文ではなく、あくまで一人の人間として、候補者の方それぞれにカスタマイズし、素直に「あなたにお会いしたい」という思いが伝わるよう、気持ちを込めて文章を作るようにしています。正直、手間はかかりますが、返信率は高いと感じています。そして、できるだけ早く返信すること。こちら側からアプローチしているわけですから素早く返信することが礼儀だと考えています。

 

3.常に「採用ファースト」

3つ目ですが、採用に関わる仕事が最重要であることです。これは弊社の特徴ですが、社長や経営陣も含め、全社員のスケジュールを採用のため変更することができます。
採用においてセクショナリズムは存在しません。採用したいと思った人材に出会えた時には、部門問わず、全社員が快く協力してくれます。
もちろん、このような文化が初めからあったわけでありません。人事部のメンバーをはじめ、私を応援してくれた他部門のメンバーの支えがあって、根付いていきました。

 

 

自ら開いたキャリアで見出した採用の本質

 

私が初めから採用のプロフェッショナルだったかというと、そんなことはありません。諸先輩のサポートを受けながら、がむしゃらに、泥臭くやってきました。
私のキャリアはと言うと、新卒で入社した会社で、創業以来初の新卒での人事部配属と、今思えばまれなスタートでした。初めは採用担当ではなく、いわゆるバックオフィス業務の人事労務管理、制度運用、ペイロール(給与計算業務)の担当から始まりました。


採用に関わることとなったのは、入社3年目の頃。この時が、私のキャリアにとって大きな転機になったと感じています。
当時、私の人事部配属を決めてくださった恩師のような存在の方がいました。しかし、彼が独立することになり、採用の仕事も教えてくれるはずだった「人事のプロフェッショナル」が社内からいなくなったのです。自分一人が取り残されたような状態になりました。
ただ、やるしかない状況であったため、わからないながらも、社外のさまざまな方に会いに行っては教えを請い、活躍されている人事の方のセミナーに行ったり、本を読みあさったりと、「採用とは何なのか」を覚えました。


当時は「自分のキャリア」を考えたことはありません。とにかく「自分がやらなくてはいけない」という、一種の使命感で仕事をしていました。ただ、次第に採用の仕事を通じて「成長著しい企業で大きな裁量権を持ち、経営と一体となった人事組織を自らつくってみたい」と強く思うようになりました。また、この頃から、採用がいかに「業績貢献に大きく寄与するか」を実感していました。
ちょうどそのタイミングで、幼い頃から兄弟のように育ったいとこの誘いを受け、BuySell Technologiesへの入社に至ります。

入社当時のBuySell Technologiesは、社員が70人程度。
ペイロールのオペレーション設計から運用、人事制度構築、採用強化と、やることは無限にありましたのでさまざまな施策を行いながら、挑戦を続けていきました。特に意識していたことは「採用に関わる仕事が最重要」という文化を醸成すること。「人材獲得の取り組み」のなかでもお話しさせていただきましたが、採用は一人ではできません。全社員の協力が必須です。成長著しい企業でしたので、どうしても各人が日々の業務に忙殺され、なかなか今のような体制をつくることが困難でした。ただこればっかりは、大きな施策というよりは地道にコツコツと発信し続け、採用で結果を示すことで信頼を得るしかありません。「採用が成功すれば必ず業績は拡大する」と強い気持ちをもって取り組んでいました。
幸いにも会社の業績は拡大。徐々に採用の重要性が組織に浸透し、採用こそが企業の成長戦略の最重要要素であるということを全社員が実感していったと感じています。

 

 

人事は最大のプロフィットセンター

 

採用活動にあたり常に意識していることは二つあります。一つは良くも悪くも「人の人生を左右する決定権を有している」ということです。その責任を強く感じていることが大事です。もう一つは「人事は最大のプロフィットセンターである」ということです。これは常日頃からメンバーにも伝えていて、役職問わず全員が同じ目線・熱量を持てていると感じています。

 

「人の人生を左右する決定権を有している」ことについてですが、これは、私の過去の苦い経験から学んだことです。以前採用業務において、採用目標を達成することに追われるなか、素晴らしい方に出会い、「ぜひ入社していただきたい」と数か月かけ口説きました。自分が考えていること、会社のビジョンなども熱く語った結果、彼は私を信用し、入社を決意してくれました。


ただ、彼の配属された現場では当時その熱量、考え方が浸透した状態にはなっておらず、入社後にギャップが生じてしまったのです。結局、彼は「早期離職」という選択。もちろん入社をするかしないか、最終的には彼自身の判断だったわけですが、「もし私と会っていなかったら、彼の経歴に傷をつけなかったのではないか」と後悔しました。現在彼は次の会社で活躍しているようですが、それ以来、同じことを繰り返すまいと心掛けています。採用とは、良くも悪くも人の人生を変えてしまう大きなきっかけです。人事として、そのことを胸に刻む必要があると考えています。

 

そして、「人事は最大のプロフィットセンターである」ことについて。かつて私は、人事は社内において機能的なイメージが強いと感じていました。また、営業職の場合はMVP(最優秀賞)などの表彰制度がありますが、人事にはそういったものはあまりありません。そのため、メンバーのモチベーション維持も難しい。

しかし、人事が良い人材を採用できているからこそ、会社が伸びるのは確かです。この事実はきちんと発信すべきです。社内に対して「人事がいることで、良い組織ができて、業績が伸びている」ということを伝え続けました。もちろんメンバーにも言い聞かせています。これが社内の理解だけでなく、人事部メンバーの自信も作り出しているのではないでしょうか。

 

 

社員とその家族が、幸せだと実感できるように

 

今後目指していきたいことは、きれいごとではなく、全社員とその家族が物心ともに幸せだと実感できるようにすることです。そう思える会社を作るために、採用という重要な仕事を通じ、実現していきたいと考えています。人生において、仕事と接する時間はとても大きいです。一人一人の人生を豊かにするためには、会社は重要な存在でしょう。心通ったメンバーでお互いが切磋琢磨(せっさたくま)できる環境を作り、会社を通じて、ビジネスパーソンとしてだけでなく一人の人間としても成長できる環境を作りたいと考えています。


人事の仕事にゴールはありません。常に私やメンバーが変化、成長を続け、足を止めることなく、理想を追い求めていければと考えています。

左から、株式会社ビズリーチ 執行役員 ビズリーチ事業本部長 酒井哲也、株式会社BuySell Technologies 執行役員 人事部長 市川智久様

(第2回):株式会社インテリム 井上様 「採用活動とは、ファンづくり活動」

(第3回):KDDIコマースフォワード株式会社 笹内様 「経験ゼロから追求した自分たちらしい採用」

(第4回):グロウ株式会社 宮本様 「価値観のすり合わせこそ採用の最重要事項」

(第5回):株式会社ジーニー 藤本様 「1年間で、内定承諾率を2倍以上に改善」

Pocket
Share on LinkedIn