先進企業に学ぶ、ダイバーシティの推進と優秀人材の維持・獲得の相関関係
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国内外多くの企業が、個の違いを生かし、多様な働き方を認めるダイバーシティを推進しています。その目的は、性別、国籍、障がいの有無、年齢など個々人の違いを尊重し、その個性に価値を見つけて、組織全体のパフォーマンスをあげることです。

ダイバーシティの重要性が叫ばれるようになったのは、日々変化するビジネス環境に、従来の画一的な考えでは対応できなくなってきたから。3年から5年スパンでビジネスモデルが変わっていく現在、異なる意見や考え、変化に対応できる人材がいなければ、企業競争力は急速に低下していきます。

また、少子高齢化やグローバル競争により、日本での人材獲得はますます難しくなっていきます。国籍や年齢など、職務の能力に関係のない特質にとらわれず、個人の持つ「能力」や「成果」を考慮して人材を採用すること。そして、その「能力」を最大限活用できる職場環境が必要になってくるのです。

【ダイバーシティ推進のメリット】

多様な能力、価値観、発想を持った人材の活用

⇒多様化・複雑化する市場ニーズへ柔軟に対応

多角的な視点で問題解決

チームパフォーマンスと生産性の向上

 

ダイバーシティに積極的に取り組み、成功させている企業は、多様な人材の採用や定着の先にある「活用」に力を入れています。働く一人一人の違いを認め、その違いから新しい発想を生み出していくことは、企業競争力のみならず、組織としての採用ブランドの強化にもつながるでしょう。

それでは、実際にダイバーシティを推進している2つの企業の事例を見ていきます。

事例1 MSD株式会社

ダイバーシティ推進には、社員一人一人が違いを理解し、尊重し合うことが重要

国内の医療用医薬品やワクチンなど、ヘルスケア・ソリューションを提供しているMSD。「人々の生命を救い、生活を改善する革新的な製品とサービスを発見し、開発し、提供する」という企業ミッションの実現に向け、社会の構成員や社員一人一人が持つさまざまな違い(年齢、性別、国籍、障がいの有無、学歴、経験、考え方、働き方、信念など)を認識・尊重しようと考えています。

お互いを理解し、仕事を円滑に進めるための情報交換の場「社員ネットワーク」

MSDには、共通の興味・関心を有する社員が部門を超えて集まり、自主的な協力体制のもとで運営、活動する「社員ネットワーク」という取り組みがあります。それぞれの活動を通じて、会社に対する発展的な提言を行うとともに、社員同士のコミュニケーションの場を提供しています。

【4つの「社員ネットワーク」】

1. Female Leaders ネットワーク

活動の目的は、「性別に関係なく誰もがパフォーマンスを発揮しやすい環境を構築」すること。女性リーダーのロールモデルの共有、社員同士の意見交換会の開催など、さまざまな社内イベントを通して、女性リーダーの育成やキャリア開発の支援に取り組んでいます。

2. 子育て&介護ネットワーク

子育て中の社員や介護に携わっている社員のために情報交換の機会を提供し、社員一人一人の豊かなワーク・ライフ・インテグレーションを目指すネットワーク。育児や介護に関する不安や悩み相談から、仕事とプライベートを相互に充実させるためのヒントやノウハウを共有。アドバイザー講師を招いた社内勉強会なども定期的に開催しています。

3. 障がい者支援ネットワーク

障がいに対する理解を深めるための勉強会や意見交換会、体験型ワークショップを開催。障がい者の個性を尊重し、活用することを目的にしています。

4. ボランティア社員ネットワーク

ボランティア活動に心理的なハードルを感じ、なかなか参加の機会を得られない社員に対し、ボランティア休暇取得など制度の活用を推進。具体的には、東北復興支援や地域貢献のための清掃ボランティア、子どもを対象にした教育支援などがあります。

さらに同社では、仕事を通じて各国の文化、慣習や風習、意識の違いなどを実感することが多いため、「グローバルカルチャーネットワーク」として、アジア太平洋地域22カ国1,800名以上のメンバーを有する同ネットワークも持っています。

このようなに多様な考えやワークライフバランスを理解することで、働き方の選択肢は広がっていきます。実際に、「子育て&介護ネットワーク」でワーキングマザーの経験談を聞いたことで仕事と家庭の両立に不安がなくなり、短時間勤務からフルタイム勤務に復帰した社員もいるようです。

▼詳しくはこちら
株式会社MSDの企業紹介(ビズリーチ・ウーマン)

事例2 株式会社セールスフォース・ドットコム

ロールモデルとなる女性管理職と、意見交換できる場をつくる

全世界で 10 万社以上、あらゆる業種・規模の企業が導入している、顧客管理・営業支援のオンラインシステムを開発・運営しているセールスフォース・ドットコム。ダイバーシティの推進、女性社員が活躍できる職場環境づくりにも積極的に取り組んでいます。

同社CEOマーク・ベニオフ氏は、世界中の女性社員がより豊かに活動の場を見いだせるようにという願いをこめて「セールスフォース・ウーマンズ・ネットワーク」という、女性社員のためのコミュニティーを発足、大小さまざまな女性社員向けのイベントを開催しています。

【女性向け交流イベント「フェミフォース」を開催】

同コミュニティーが開催している女性向け交流イベント「フェミフォース」は、ロールモデルとなるセールスフォースの女性管理職と、同社の女性社員、外部の働く女性が一堂に会する場。仕事と育児を両立させて働くためのコツや、キャリアの積み方、悩み相談など、活発な意見が交わされます。育児と仕事の両立に対する悩みや、女性のキャリア形成の方法、女性が企業で活躍するための心構えなど、女性管理職と直接交流することで、女性社員は課題や不安を解消しているそうです。

【クラウド型社内SNS「Chatter(チャター)」を導入】

同社が提供するクラウド型社内SNS「Chatter(チャター)」は、いつどこにいても社員全員が必要なファイルやデータにアクセスできるツールです。これを導入することで、普段関わりが少ない他部署の社員同士でも気軽にコミュニケーションをとれるようになりました。国内の女性社員同士の活発な意見交換が可能になることはもちろん、海外支社に勤める女性社員からのアドバイスも得られるようになり、不安や気になることがあるときは、気軽にコミュニケーションをとれるようになっています。

育児のサポートはもちろんのこと、介護に携わる社員もサポート

交流会や社内SNSを通じて社内コミュニケーションが活発になると、お互いのライフスタイルへの理解が深まり、育児や介護による休みへの対応も柔軟になります。

実際に同社には、年次有給休暇とは別に、子どもの看護のため、あるいは介護のために休暇を年間で5日取得できる制度など、さまざまなサポート制度があります。多様な働き方の理解が社内全体に広がることで、制度の形骸化はなくなり、自分のライフステージに合った「活用」が進んでいくでしょう。

▼詳しくはこちら
株式会社セールスフォース・ドットコムの企業紹介(ビズリーチ・ウーマン)

まとめ

紹介した2社の事例はどちらも、社内コミュニケーションを促進し、職場で悩みや不安を相談し合える環境づくりをしているものです。違いを受け入れ、多様なメンバー間の相互理解を推進し、尊重しあう土壌をつくることで、変化に対応し、変化とともに成長していく組織ができていくのです。ダイバーシティの推進は、強い組織づくりへの貢献のほか、より難しくなっていく人材獲得競争において、優秀人材の維持や採用ブランディング構築にも貢献してくれる効果的な手法であると言えるでしょう。

 

(文:田中瑠子、望月美奈子)

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