HRO~人事業務アウトソーシングの現在~
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日本企業は、計画通りにコスト削減できていない企業が多い

給与計算などの人事オペレーション業務をアウトソーシングしてコストを削減する取り組みは、HRO(Human Resource Outsourcing)と呼ばれ、日本でも広がりを見せています。グループ会社を多く持つ大企業では、本社や子会社の経理や人事などのバックオフィス業務を一元化することでコストダウンを図ろうと、グループ内で業務の再編を行ってきました。しかし、グループであるがゆえに各社の要望を断ち切ることができないケースは少なくなく、当初の計画通りにコストダウンできない企業が多く見られました。

海外のグローバル企業は、オペレーション業務だけでなく幅広くアウトソーシングしている

一方、海外のグローバル企業に目を移すと、HROによって業務効率向上を成功させています。日本企業と大きく異なる点は、二つあります。一つは、一般的なオペレーション業務だけではなく、ビジネスとリンクした戦略立案支援・人材マネジメント企画支援まで幅広くアウトソーシングしていること。もう一つは、グループ企業ではなく、アクセンチュアやIBMなどのアウトソースベンダーに依頼し、効率化・品質最適化を図った上でオフショアリングを行っていること。オフショアリングとは、コスト削減などを目的に、企業が自社の業務の一部分や全部を海外に委託・移管することをいいます。

近年、オフショアリングが注目を浴び、海外のグローバル企業が積極的に活用している背景には、インターネットの普及を背景とした通信コストの低下や、業務委託先との時差を活用したロスタイムの削減などによる、業務効率の向上があげられます。また、グローバル企業のオペレーションは英語で行われるため、英語でグローバル共通のオペレーション処理を行えるのも大きな要因です。

オフショア先の現地人材の人件費が高騰

オフショア先の現地人材の質の向上も、アウトソーシング化を促進する要因の一つです。近年は、研究開発や設計といった専門的な業務や、ナレッジの活用が必要なコールセンター業務、バックオフィス業務などにも委託範囲が拡大してきており、人事領域も聖域はなくなってきています。アクセンチュアによれば、人事業務の50~60%はアウトソースが可能で、それによるコスト削減効果は20~50%になるそうです。しかし、専門的な業務を任せられるほどのハイスキル人材に関しては、たとえば中国の大連などオフショアリング拠点として人気の地域では競合企業との人材獲得競争が激化して人件費が高騰しており、見込んでいたコスト削減効果を得られない状況になりつつあります。そのため、オフショアリング拠点をよりコストが安い地域に移転するケースも増えています。

オフショアリング成功のカギは、現地人材に責任感を持たせること

再び日本企業に視点を戻します。日本企業のオフショアリングの目的は、コスト削減に加えて、少子高齢化によって減少する労働力の確保も見込んで実施されるケースが多いようです。ただ、課題となるのが「日本語対応」で、専門的な業務領域であるほどオフショアリングを推進する足かせとなっています。そこで、大手のアウトソースベンダーは現地人材の日本語教育に力を入れており、レベルは徐々に上がってきています。

オフショアによる人事業務のアウトソーシングの成否を分けるカギとなるのは、現地人材に「自分でオペレーション業務をやり遂げる」という責任感を持たせられるかどうかのようです。現地人材の質とそこにかかる人件費のバランスを見て、コスト削減効果がどれだけ見込めるかを判断するのです。

 

初出『HRトレンドハンドブック』

松本利明(人事・戦略コンサルタント/HR総研 客員研究員)

編集:高梨茂(HRレビュー編集部)

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