採用に強い中小・ベンチャー企業に「タレントプール」が導入される理由
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人手不足が深刻化し、売り手市場が続く採用マーケット。

厚生労働省が報告する2017年9月の有効求人倍率は1.52倍、6カ月連続でバブル期超えとなりました。中小企業基盤整備機構が2017年5月に公開した調査結果でも、中小企業の約74%が「人手不足」を実感しており、そのうち約20%は「人手不足がかなり深刻」であることが報告されています。

上記のような報告が相次ぐ環境下にあることに加え、人材確保への懸念が強まり、いよいよ対策を急ぐ必要があるなかで、外資系企業や危機意識の高い中小・ベンチャー企業の間で特に注目を集め、導入されているのが「タレントプール」という概念を取り入れた採用手法です。

今回は、「タレントプール」を活用した採用活動の考え方から、「タレントプール」が中小・ベンチャー企業の注目を集める理由、実践の意義、実践へのヒントまでをお伝えします。

採用難の時代に中小・ベンチャー企業が相次いで導入する「タレントプール」とは

タレントプールは、大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが1997年から2000年にかけて、主にアメリカの人材の獲得・育成に関する調査をまとめた「The War for Talent(ウォー・フォー・タレント)」で提唱された概念です。

「The War for Talent」は、10年以上前に「人材獲得・育成競争社会」を予見し、今なお読み継がれる人材領域のバイブルです。そこで提唱されるタレントプールは、「自社の採用候補となりうる優秀人材を蓄えるデータベース」を意味します。

欧米ではすでに定着している考え方で「Talent Community(タレントコミュニティー)」という言葉で表現されることもあります。「『企業と個人が直接つながりを築き互いの関係性を醸成する場所』としてデータベースを捉える採用活動」、あるいは「いずれ転職する可能性がある転職潜在層も含めて広く優秀な人材をプールする考え方」としても知られます。

求人倍率が上がれば上がるほど企業の採用難度も上がります。また、テクノロジーの進化やグローバル化、国内市場の縮小・成熟化、労働力の減少など、外部環境の劇的な変化により人材獲得競争が過熱している状況があります。そうしたなかで、知名度や資金力などの点で大手企業に比べ不利な立場に置かれがちな中小・ベンチャー企業が、今すぐ転職したいと考える「転職顕在層」のみを対象として採用活動を行うだけでは優秀な人材を確保するのは困難でしょう。

これに対して、自社に入社する可能性がある優秀な人材をプールして長期的につながり続けるのがタレントプールになります。採用活動に取り入れる意義は下記の通りです。

・一度の採用活動で候補者とのつながりが絶たれる「もったいない」を解消。優秀な人材の採用機会を拡大できる

・費用が発生する第三者を介さず直接アプローチできるため、コスト削減効果を期待できる

・知名度の低い中小・ベンチャー企業でも自社で「働く意義」を伝える機会を得られる。結果、採用ミスマッチが減る

タレントプールの考え方に対する理解を深めていただく意味も込めて、ここで上記3つの意義の詳細について順を追って解説します。

一度の採用活動で候補者とのつながりが絶たれる「もったいない」を解消。優秀な人材の採用機会を拡大できる

・優れた人材ではあるが、すでに採用枠が充足したため不採用通知を送らざるを得ない
・ポテンシャルは高いが現時点でのスキルでは、即戦力を求める今回の採用要件に適さない
・今後別のポジションで募集する可能性はあるが、現在は募集していない

こうした理由から、優秀な人材やタイミング次第では活躍が期待できる人材との縁を一度きりにしているケースは多いのではないでしょうか。

実際、自社の状況が変わったときに「あの人を雇っておけばよかった」と後悔することもあると思います。たとえば、今まさに事業と組織の拡大フェーズにあるベンチャー企業では、短期間で急激に成長し新たな事業部門が立ち上がることも少なくありませんが、これに伴う人員拡大のための採用活動において、過去に不採用にした人材がフィットするケースです。

また企業側のタイミングの問題だけでなく、求職側としても「求人内容に興味はあるが、今はその時機ではない」と、転職に動かないということもあるでしょう。

最近ではグローバル化やテクノロジー進化などの影響により、特にITエンジニアに対する人材不足が顕著にみられますが、こうした特定スキルを持つ人材は数カ月といった短期間で成長するケースも少なくありません。不採用通知後ほどなくして惜しい人材になっていることも往々にしてあります。

そのような人材とのつながりを一度きりの縁と考えずに、継続的につながり続けるのがタレントプールの考え方です。タレントプールにより、企業と候補者、双方のタイミングが一致しないことで採用できなかった「もったいない」を解消し、優秀な人材の採用機会を拡大することができます。

費用が発生する第三者を介さず直接アプローチできるため、コスト削減効果を期待できる

「プールした人材候補に何度も直接アプローチできる」のはタレントプールを活用した採用手法の大きな特徴です。この利点により、自社で採用ニーズが発生した際にあらためて人材紹介会社や求人媒体に依頼せずに済むため、コスト削減効果を期待できます。

たとえば求人媒体では、大企業や有名企業に大量の応募が集まる一方、知名度の低い中小・ベンチャー企業は応募が少ないこともあります。期間で広告枠を買うサービスは、採用できなくても費用がかかってしまう懸念もあります。人材紹介会社の場合、会社や職種により差はありますが、成功報酬は1人当たり年収の30%程度が相場といわれます。1人当たりの採用費用×人数分のコスト負担は、今まさに事業を拡大する成長企業にとっては重荷になることもあるでしょう。

こうした第三者を介さず、要件に合った人材に、主体的かつ能動的に直接声をかけられるのがタレントプールを活用した採用手法の特徴です。採用費用の削減とともに、柔軟な対応が求められる急な採用ニーズが発生した際に、人材紹介会社への依頼や求人票の作成に費やす作業コストを削減できる利点があることも見逃せません。

知名度の低い中小・ベンチャー企業でも自社で「働く意義」を伝える機会を得られる。結果、採用ミスマッチが減る

中小・ベンチャー企業が採用に苦戦を強いられる原因のひとつに、総体的に情報発信力が弱いことが挙げられます。「業界内での高い認知度」「企業名の信用力」がある大手企業と比較して、自社の魅力に気づいてもらいにくいのは大きな課題です。

タレントプールを構築することで、プールした人材とは気軽にコンタクトをとりコミュニケーションを重ねることができるようになります。これにより事業の目的やビジョン、企業文化や自社独自の魅力をじっくり伝えることができ、自社で働く意義を理解してもらい、入社意欲を高めることが可能になります。

こうした取り組みは、「せっかく入社してもらったのにすぐ辞めてしまった」といった採用ミスマッチの低減にもつながります。企業と候補者が採用のタイミングが訪れるまで、互いの要望について話し合い、十分な理解と納得の形成がなされたうえで採用に至るためです。

また、タレントプールに一定以上の規模で優秀な人材がプールされているからこそ、人材の質をとことん追求できる側面がある点も特徴の一つです。

タレントプールの実践に向けた3つの勘所

ここまで、タレントプールを取り入れた採用活動の意義について解説しました。次に、実践に向けた3つの勘所をご紹介します。

  1. 自社がつながりたいと望む人材を特定し、積極的にアプローチする
    採用活動において人材の質は重要です。タレントプールの構築は、まず自社のビジネスを共有できる可能性を秘めた優秀な人材を特定することに始まります。そして、過去の内定辞退者や採用を見送った人材も含め、さまざまな手段を用いて候補者となりえる人材と積極的につながりを築いていくことが、タレントプールの基礎を作ります。
    アプローチの手段は、自社採用サイト、SNS、イベントや勉強会、社員による人材の紹介・推薦(リファーラル採用)、転職サービスおよびマッチングサービスなどさまざまあります。それらの手段から自社が望む人材とつながるために適切な手段を選択し、主体的かつ能動的にアプローチしていくことが重要です。
     
  2. 継続的に情報発信し、長期的な視点で互いの関係を深める
    データベースにプールした人材とは、継続的にコミュニケーションをとっていくことが重要です。先に述べたとおり、タレントプールとは「企業と個人が直接つながりを築き互いの関係性を醸成する場所」です。そのなかで、自社と候補者との関係が作られた結果として、自社の魅力が伝わり転職意欲が高まっていくのです。また、過去の採用活動で縁はあっても入社に至らなかった候補者も、時間とともに周囲の環境に変化が起こり、心境に変化が生じている可能性があります。
    これらを踏まえ、新しい就職の機会、今後の予定、会社の最新ニュースやトピック、イベントや交流会の情報をメールマガジンやSNSなどを通して定期的に発信してみてはいかがでしょうか。そうすることで、貴社への関心が高まり、転職の際に候補の一つとして意識づけが生まれるでしょう。
     
  3. ITシステムを利用し、タレントプールの実践を効率化。きめ細かな情報発信へ
    情報発信は長期的にしていくことが重要です。とはいえ、そこで生じる手間を考えると二の足を踏んでしまうことも多いのではないでしょうか。そうした課題には、タレントプールの実践を支援できる「採用管理システム」という選択肢が有用です。サービスによっては、システム内でデータベース化された候補者リストに対して、特定の条件を指定し絞り込み、一括でメール配信できるなど、候補者に合ったきめ細かな情報を、効率的かつ簡単に発信できます。
    過去の採用活動で縁のあった候補者とのやりとりなどがシステムに蓄積されていれば、候補者をリストではなく「個人」と捉え、一人ひとりの情報ニーズに合った施策を展開していくことも可能です。どのようなチャネルで接点があったのか、その際の面接官の評価はどうだったのか、採用プロセスのどこで離脱したのかなどを分析できれば、候補者個人に適したコミュニケーションを検討することが可能になります。
    優秀な人材との結びつきを強化し、より効率的に労働力を得る戦略的な採用を実践することにつながります。

タレントプール機能も搭載。採用までのあらゆる活動を一元化する「HRMOS 採用管理」

株式会社ビズリーチが運営する「HRMOS 採用管理」は、タレントプールの実践から採用までのあらゆる人事業務を支援します。

HRMOS採用管理

リファーラル採用や求人媒体などの採用チャネルから、書類選考官・面接官などの評価情報、過去の応募者とのやりとりまで、採用に関わるすべての情報を一元管理できます。

【タレントプールへのアプローチから採用に至るまですべての過程を可視化】
【タレントプールへのアプローチから採用に至るまですべての過程を可視化】

これまでは候補者に関連する情報が分散していることが多く、採用したい人材を中長期にわたってフォローすることは困難でしたが、「HRMOS採用管理」ではタレントプールに登録した候補者を職種・年齢・評価を軸に検索できます。
過去に応募があった候補者とのコミュニケーションでやりとりした情報など、履歴を残しながら直接アプローチし、採用に結びつけることが可能です。

データベースに蓄積された候補者に関わるあらゆる情報が一目で把握できる、わかりやすいUI(ユーザーインターフェース)により、現場の担当者の方でも直感的に活用できます。

条件に合わせて対象者を絞り込み一括でメールを自動配信する機能や、SNSと連携した求人に関する情報を拡散する機能、社員紹介受付や実績レポート、社員に対し求人に関する案内を発信するリファーラル採用支援機能など、多彩な機能を備え、タレントプールの実践と業務効率化の両立を支援します。

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